Love Thierry!

「初めてのハイヒール」

 

小学校4年生のエレクトーンの発表会前だった。

母がハイヒールを買ってあげると言った。

 

シンデレラのガラスの靴のようにつんと尖ったつま先、折れてしまいそうに細いピンヒールのパンプスを夢想し、私の胸は高鳴った。

しかし結果選ばれたのは、高さ4センチあるかないかのどっしりと丈夫そうなヒールだった。

大きなリボンも「何にでも合うように」という母の合理性により却下された。唯一私の意見が通ったのはエナメルだけ。

 

それでも嬉しかった。私にとっては初めての‟ハイヒール“である。

 

発表会当日「行きは運動靴で行くように」という母の言葉を無視し、私はピカピカのエナメルの‟ハイヒール”で出かけた。

そしてその後の地獄・・・

 

あれから長い時が立ち、私は沢山の経験から学び、また足を慣らし、ハイヒールダッシュもできる大人の女(?)になった。

それでもヒールを脱いだ時の解放感は否めない。そしてお風呂で足をマッサージしながら思う。

「もっと足が楽なハイヒールはないかなぁ・・・」

 

もっと早く出会いたかった。Thierry Rabotin

赤ちゃんのおくるみみたいに優しく足を包み込む。手縫いのサケット方法ならではの履き心地!

素足で歩くように。

 

もう無理しなくても良いのだな。